いわゆる「高齢出産」の年齢で妊娠するために不妊治療に努めている方は多くいるのではないでしょうか?
高齢出産、つまり35歳以上で出産することが近年では珍しくなくなりました。
2016年の高齢主出産は母全体の30%近い割合であり、これは高齢出産割合の低かった1975年と比べるとポイント数にして9倍近いものです。
しかし、高齢出産が一般化してきたとはいえ、身体的な問題はないのでしょうか?
ここでは、35歳以上で不妊治療を行っている方が事実として押さえなければならない「妊娠適齢期」についてご説明します。
■妊娠できる状態とは
そもそも、どういう体の状態であれば妊娠できるのでしょうか? 多くの方は、生理があれば妊娠できると思っているかもしれません。しかし、実際には閉経する約10年前には、妊娠しにくい状態になっているのです。
妊娠するためには「排卵」が行われている必要があります。閉経前の約10年間ほどは、女性ホルモンの分泌量が減り続けながら、バランスも不安定になるために、生理があっても卵胞の質がどんどん落ちていきます。既には排卵していない状態に至るため、妊孕性が著しく低くなるのです。
■何歳まで妊娠できるのか
個人差はありますが、おおよそ51~52歳で閉経すると考えると、その十年前の40代初めには妊娠の限界が訪れます。
また、それ以前の30代半ば頃に「卵子の老化」と呼ばれる卵子の質低下が起こり、妊娠しにくい状態になります。
すなわち、「妊娠適齢期」を位置づけるとすれば、30代前半までのが妊娠しやすい時期にあたるでしょうし、日本産婦人科学会では、自然妊娠を希望する方は29歳までに第一子を妊娠することを勧めているのです。
30代半ばから40代初めまでの妊娠しにくくリスク(流産など)を伴う時期や、それ以降の生理が続くのみで排卵が無い時期は妊娠適齢期ではないのです。
人間の平均寿命が100歳に伸びようとも、排卵可能の時期が大きく伸びることはないでしょう。
しかし、いわゆる「高齢出産」が妊娠・出産に不利であるという事実は以前変わらないことを認識しておかなければなりません。
ここでは、「妊娠適齢期」という少し厳しいお話をしました。 しかし、子どもを望むならば、押さえておかなければなりません。
一方で、排卵があれば、たとえあなたが何歳でも、まだ望みを捨てる必要はないということですが…
ポイントは、排卵されている卵胞の質(遺伝子)が、出産できるレベルのものであれば妊娠、出産は可能ということです。
その見極めは、実際に体外受精で胚を移植してみないと、分からないということなのです。遺伝子検査で遺伝子に異常があったものは移植しないという方法もあるでしょう。
□しかし、検査の精度もさることながら、遺伝子異常とは判別されないけれど、出産には至らないレベルの胚も多いのです。
□そして逆に一見ダメかなと思うような胚でっも、着床、妊娠、出産へと進むケースもあるので、出産できる出来ないの線引きは、移植を行ってみないと判らないとう現実になるのです。
いまうまくいっていない方は、治療法が合っていないだけで、あなたには妊娠する力が残されているかもしれません。年齢を含めたあなたの状況を冷静に振り返ってみてはいかがでしょうか。